神経系統の機能または精神~高次脳機能障害~

神経系統の機能又は精神の障害は、非常に多岐に渡ります。このサイトでは、ご相談が多い脳の障害(特に高次脳機能障害)と脊髄の障害を個別に取り上げ、その他の障害をまとめてご説明します。

ここでは、高次脳機能障害を中心として、脳の障害について取り上げますが、特に、高次脳機能障害は、ご相談も多く、また、専門性が高い分野でもあるので、関連する事項について別に項目を設けて取り上げています。

 

高次脳機能障害を中心とする脳の障害の後遺障害等級は、大きく、介護が必要か否かで別れ、具体的には下記のようになっています。

 

介護が必要な後遺障害(別表第一)

1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

それ以外の後遺障害(別表第二)

3級3号
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの」
5級2号
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

第7級4号
「神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

9級10号
「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

 

脳の障害

脳の障害は脳の器質性障害と非器質性障害に分かれ、脳の器質性障害は高次脳機能障害と身体性機能障害に分かれます。非器質性の障害については、「神経系統の機能または精神~その他の障害~」の項をご覧ください。

 

(ァ) 高次脳機能障害

高次脳機能障害については、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に

対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力(以下「4能力」とい

います。)の各々の喪失の程度に着目して評価がされます。その際、複数の障害が認められるときには、

原則として障害の程度の最も重篤なものに着目して評価が行われます。

ただし、高次脳機能障害による障害が第3級以上に該当する場合には、介護の要否及び程度を踏まえて等級が決定されます。

なお、高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものであることから、

MRI、CT等によりその存在が認められることが必要となります。

(注)

①高次脳機能障害とは、認知、行為(の計画と正しい手続きでの遂行)、記憶、思

考、判断、言語、注意の持続などが障害された状態であるとされており、全般的な

障害として意識障害や痴呆も含むとされています。

② 4能力を評価する際の要点については、後記の(参考)の「○高次脳機能障害の

評価の着眼点」を参照のこと。

 

a「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作に

ついて、常に他人の介護を要するもの」は、第1級とされます。

次のものが、これに該当します。

(a) 重篤な高次脳機能障害のため、食事、入浴、用便、更衣等に常時他

人の介護を要するもの

(b) 高次脳機能障害による高度の痴ほうや情意の荒廃があるため、常時

他人の監視を要するもの

b「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作に

ついて、随時他人の介護を要するもの」は、第2級とされます。

次のものが、これに該当します。

(a) 重篤な高次脳機能障害のため、食事、入浴、用便、更衣等に随時他

人の介護を要するもの

(b) 高次脳機能障害による痴ほう、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発

作性意識障害等のため、随時時他人の監視を要するもの

(c) 重篤な高次脳機能障害のため、自宅内の日常生活動作は一応できる

が、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を

必要とするため、随時他人の介護を要するもの

c「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機

能障害のため、終身にわたりおおよそ労務に服することができないもの」

は、第3級とされます。

次のものが、これに該当します。

(a) 4能力のいずれか1つ以上の能力の全部が失われているもの

例1 意思疎通能力が全部失われている例

職場で他の人と意思疎通を図ることができない場合

例2問題解決能力が全部失われている例

課題を与えられても手順どおりに仕事を全く進めることができず、

働くことができない場合

例3 作業負荷に対する持続力及び持久力が全部失われている例

作業に取り組んでもその作業への集中を持続することができず、

すぐにその作業を投げ出してしまい、働くことができない場合

例4 社会行動能力が全部失われている例

大した理由もなく突然感情を爆発させ、職場で働くことができな

い場合

(b) 4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの

d「高次脳機能障害のため、極めて軽易な労務のほか服することができ

ないもの」は、第5級とされます。

次のものが、これに該当します。

(a) 4能力のいずれか1つ以上の能力の大部分

が失われているもの

(例) 問題解決能力の大部分が失われている例

1人で手順どおりに作業を行うことは著しく困難であり、ひんぱ

んな指示がなければ対処できない場合

(b) 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度

が失われているもの

e「高次脳機能障害のため、軽易な労務のほか服することができないも

の」は、第7級とされます。

次のものが、これに該当します。

(a) 4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度

が失われているもの

(例) 問題解決能力の半分程度が失われている例

1人で手順どおりに作業を行うことに困難を生じることがあり、

時々助言を必要とする場合

(b) 4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度

が失われているもの

f「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級とされます。

高次脳機能障害のため4能力のいずれか1つ以上の能力の相当程度

が失われているものが、これに該当します。

(例) 問題解決能力の相当程度が失われている例

1人で手順どおりに作業を行うことに困難を生じることがあり、た

まに助言を必要とする場合

g「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少

の障害を残すもの」は、第12級とされます。

4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているものが、これに

該当します。

h「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微

な障害を残すもの」は、第14級とされます。

MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあるこ

とが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力

喪失が認められるものが、これに該当します。

 

(参考)

○高次脳機能障害の評価の着眼点

高次脳機能障害は、4能力に係るそう失の程度により行われ、評価を行う際の要点は、以下のとおりとされています。

①意思疎通能力(記銘・記憶力、認識力、認知力、言語力等)

職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判

定されます。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断されます。

②問題解決力(理解力、判断力等)

作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務

が遂行できるかどうかについて判定されます。主に理解力、判断力、又は集中力(注意

の選択等)について判断されます。

③作業負荷に対する持続力、持久力

一般的な就労時間に対処できるだけの能力がが備わっているかどうかについて判

定されます。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断

を行う。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断されます.

④社会行動力(協調性等)

職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判

定されます。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感

情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度についての判断されます。

(イ)            身体性機能障害

脳の損傷による身体性機能障害については、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺及び単麻痺)及びその程度(高度、中等度及び軽度)並びに介護の有無及び程度により障害等級が認定されます。

具体的には、次のとおりです。

1「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級と認定されます。
具体的には、

・高度の四肢麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
・高度の片麻痺であつて、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

が該当します。

2「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」は、第2級と認定されます。
具体的には
・高度の片麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

が該当します。
3「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの」は、第3級と認定されます。
具体的には、中等度の四肢麻痺が認められるものが該当するします(上記の第1級、第2級に該当するものを除きます。)。
4「身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの」は、第5級に認定されます。

具体的には
・軽度の四肢麻痺が認められるもの
・中等度の片麻痺が認められるもの
・高度の単麻痺が認められるもの

が該当します
5「身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの」は、第7級と認定されます。

具体的には
・軽度の片麻痺が認められるもの
・中等度の単麻痺が認められるもの
が該当します

6「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級に認定されます。
具体的には 、軽度の単麻痺が認められるものが該当します。
7「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級とされます。
具体的には、

・運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの

・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

が該当します。
例えば、
1:軽微な随意運動の障害又は軽微な筋緊張の亢進が認められるもの
2:運動障害を伴わないものの、感覚障害が概ね一上肢又は一下肢の全域にわたって認められるもの

などがあります。

 

麻痺の範囲について
1 四肢麻痺とは両側の四肢の麻痺し、片(へん)麻痺とは、一側上下肢の麻痺 、対(つい)麻痺とは、両下肢又は両上肢の麻痺、単麻痺とは、上肢又は下肢の一肢のみの麻痺をさします。

2 脳の損傷による麻痺については、四肢麻痺、片麻痺又は単麻痺が生じ、通常対麻痺が生じることはありません。

3 麻痺には運動障害及び感覚障害がありますが、脳損傷により運動障害が生じた場合には通常運動障害の範囲に一致した感覚障害(感覚脱失又は感覚鈍麻等)が随伴します。

 

麻痺の程度について

麻痺の程度は、運動障害の程度をもって判断されます。ただし、麻痺のある四肢の運動障害(運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障)がほとんど認められない程度の麻痺については、軽度の麻痺に含めず、第12級13号と認定されることになっています。

また、麻痺の範囲および程度については、身体的所見及びMRI、CT等による裏付けが必要です。

 

「麻痺が高度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものを言います。

具体的には、

・完全強直又はこれに近い状態にあるもの
・上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
・下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
・上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
・下肢においては、随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの

です。
「麻痺が中等度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものを言います。
例えば
・上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
・下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの

などです。
「麻痺が軽度」とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているものを言います。

例えば
・上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
・下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの

などです。

*麻痺のある四肢の運動障害(運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障)がほとんど認められない程度の麻痺については、軽度の麻痺に含めず、第12級として認定することとされています。

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