後遺障害があるのに減収がない場合

● 後遺障害があるのに減収がない場合、逸失利益は認められるか?

交通事故により被害者に後遺障害が残った場合でも、事故からしばらくの間、減収がないケースがあります。
事故前よりも収入が減少した差額部分だけが逸失利益として損害になると考えると、減収がない場合には賠償が受けられないという結論になりそうです。
しかし、逸失利益は将来の損害を問題とするもので、事故後の一定期間減収がなかったからといって、必ずしも将来に渡って、全く減収が生じないことが確実になったわけではありません。また、事故に遭遇しなければ、昇進等によって収入が増加することがある程度見込まれていたのに、事故によってこれが失われたとすれば、損害と考えるべきでしょう。
被害者に減収がない場合でも、以下で述べるような事情を考慮して、逸失利益を認める裁判例があります。

 

● 事故が生じなければ収入増が見込まれた事情

実際に支払われる給料等は減少していなくても、事故前に見込まれていた昇進が遅れたり、事故の影響で昇格試験を受験できなかったり、昇給が遅れる等の不利益が生じていることがあります。
このような不利益は、事故がなければ生じなかったものであり、実際に不利益が生じている場合には、逸失利益が認められるべきだと考えられます。

 

● 将来の減収の発生を推認させる事情

・業務への支障が生じていること
後遺障害によって、実際に配置転換を余儀なくされたことや、業務に支障が生じていることは、現在減収が生じていなくても、将来的に減収が生じることを推測させる事情と考えることができます。
・減収がない原因が勤務先の配慮による場合、勤務先の規模が小さい場合等
現時点では、減収が生じていなくとも、勤務先の経営状況が悪化したり、経営者が交代したりした場合には、勤務先の配慮が継続せず、減収が生じることが推測されるため、逸失利益を認める一つの事情となります。
・今後の転職・退職の可能性
後遺障害を抱えている場合、健常者に比べて雇用条件が劣る場合があり得るために、転職の可能性があれば、現在の収入が将来に渡って継続するとは言い難くなります。

 

● 事故前よりも勤務の準備等に労力を要していること

減収が生じていないとしても、それが被害者の努力によるものである場合、事故前と全く同じ状況が続いているとは言えません。
業務やその準備のために、事故前よりも多くの時間を掛けて収入を維持したのであれば、勤務のために費やした時間との対比で、実質的には収入が減少していると考えることができます。事故に遭わなければ、その時間を費やして収入の増加につながる可能性もあります。
また、事故前とは職種を変更して収入を維持しているケースや、リハビリに相当な時間を費やしているケースでも、事故の影響があると考えられ、このような事情があることも、逸失利益が認められる方向に働きます。

 

● 生活上の支障

人間の労働活動は、実際に労働している時間だけで構成されているわけではなく、休養や余暇などで、労働能力の再生産が行われることによって支えられていると考えられます。
後遺障害によって生活上の支障が生じていて、それが間接的にせよ労働に影響を与えている場合、労働能力の再生産に支障を来していると考えることもでき、逸失利益を肯定する事情となるケースもあると考えられます。

後遺障害が残っているのに、減収が生じていない場合には、以上の様な原因があったり、仕事上・生活上何らかの不利益が生じたりしていることも多いと考えられます。
逸失利益が認定されている裁判例もありますので、事故前後の勤務の状況について詳細に立証することが必要です。

 

ポイント

後遺障害が残っているのに減収がないケースでも、事故がなければ増収が見込まれる事情や、将来の減収を推認させる事情がある場合には、逸失利益が認められることがある。勤務の状況や生活の状況に関して、事故の影響で不利益が生じていないか、振り返って考えて見る必要がある。

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